【落合】宇宙の音を奏でる – ハンドパン演奏者SHU

 
トマムで撮った、一枚の写真。
これは、UFO(未確認飛行物体)でしょうか?
 
…いやいや、れっきとした楽器なんです。
「ハンドパン」という、2000年頃に作られた比較的新しい打楽器のひとつ。
見た目に反さず、まるで宇宙の音を奏でているかのような不思議な楽器です。
 
今回のレポートでは、このハンドパンの伝道師として活動を続ける SHU が、
北海道にきたときにインタビューしたことをお伝えしていきたいと思います。
 
 

【ハンドパン演奏者 SHU】 ハンドパンは、2000年に発明された比較的新しい打楽器のひとつ。 それを日本に伝導しようとしているSHUが、大阪から北海道にきて演奏してくれました。 打楽器だけどリズムもメロディもあり、持ち運び可能で、懐かしくも新しい音が鳴る不思議な楽器。それらの特徴が、なんだか今の時代を象徴しているようにも思えます。 ひとの活動の根源的なリズム、生音の楽しさを知ってもらうため、ストリートに出かけて演奏をする。そんなハンドパン演奏と、それに懸けるSHUの熱意が、波動に乗って多くの人に届いてほしいなと思います* @shuhandpan #SHU #ハンドパン #ミナトマム #handpan #8秒動画

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せいしゅう
さっそくだけど、ハンドパンを始めたきっかけを教えてください!
SHU
もともと打楽器が好きで。というのも、打楽器って音楽の原点で、例えば人が歩くとか手を叩くとか、全ての人間の行動って音がつきもので、そういう音にリズムと言う付加価値を与えて、そこに音楽が生まれてきたわけやから。
せいしゅう
確かに、大学の授業で縄文時代にマンモスの骨を使った打楽器があったって聞いたことがある。その頃からあったってことだよね。
SHU
そう、メロディーっていうのは絶対後からついてきたもので、それよりも前にリズムがあったはずで、そう考えると打楽器って人間がいちばん古くから付き合ってきた音楽なんだなと。
せいしゅう
なるほど。音楽の原点ともいえるのが打楽器なんだね。
SHU
リズムって人間のDNAに染み付いてるものだと思う。そんで、ドラムとしてバンドをずっとやっててねんけど、ライブハウスに出演することがほとんどで、それはすごい面白かったけど、来る人がすごい限定されてるなと思い始めて。ライブハウス恐いって思ってる人も多いやん。
せいしゅう
確かに、実は僕もそっち側の人間。一見さんだと入りづらいかも。
SHU
俺はそれがすごい悔しくて、ライブハウスってこんな良い場所なのに、生の音を聞く機会がある人が、日本ではすごい少ないんじゃないかと思って。それなら、自分がストリートに出て生の音楽を聞かせたらいいやんって考え始めた。
せいしゅう
つまり、来てもらうんじゃなくて聞かせにいく。発想の逆転だね。
SHU
でも、打楽器しかやってなかったから、ギターも歌もできへん。どうしよって思いながら、夜な夜な世界中の打楽器の動画をYouTubeで見漁ってたときに、たまたまハンドパンがヒットして。
せいしゅう
それが運命の出会いだったんだ(笑)
SHU
ハンドパンは、リズムだけじゃなくメロディーも鳴らせる楽器や、すげえって思って。しかもコンパクトで持ち運べるこれこそ俺がやるべき楽器やん!と思って始めたのがきっかけやった。

せいしゅう
それはいつ頃の話?
SHU
それを初めて見たのは、ちょうど3年くらい前かな。そのときは、これこそ俺がやるべき楽器やってほんとに思って。例えば、俺にとってはピアノも打楽器やねんけど、持ち運べないやんか。
で、ハンドパンという楽器と出会ったときに今の社長とも再会して(※”今の社長”はSHUの同級生)、一緒に飲んでたときに、ハンドパンは絶対面白いし絶対広まっていくと思うんよなーって話してたら、社長がじゃあうちの会社でやれば?ってなった。
せいしゅう
社長のノリの良さがすごい。笑
それって、会社にハンドパン事業部があるってこと?
SHU
そう、いまはハンドパン事業部がある。
せいしゅう
それは収益を得てる?
SHU
うん、得てる。
主におれの演奏活動とハンドパンの販売。
せいしゅう
その会社の、本来の業務って何をしてるの?
SHU
エアーマットとか、体操用器具の輸入・製造・販売がメインやな。その前はバイトやったから、この会社で初めて「会社員」になった。
せいしゅう
そうだったんだ。SHUと社長はどんな関係なの?
SHU
中学校の同級生で、タメやってん。卒業してからは連絡とってなかったんやけど、Facebookの投稿がきっかけで繋がって。
何年か前に、パリのテロがあったやん。そのときにアイコンをトリコロールにするのが流行ってたんやけど、その現状にめっちゃムカついて。
ゆうてみればテロなんて、中近東で毎日のように起きてるっていうのに、なんでパリだけ特別扱いなんやって。
オシャレ感覚で流行りに乗っかるのバリきしょいやん、みたいなことを書いて。それにいまの社長が食いついてきた。
せいしゅう
確かに僕も同意見だけど、すごく炎上しそうな発言だ(笑)
ちなみに、社長はどんな立場でコメントしてきたの?
SHU
ミニマムな見方ならSHUは正しいけど、大きい見方をしたら間違ってる部分もあるよなって。
そんで、とりあえず飲みにいこうってなったのが再会のきっかけかな。おれにとっては、不謹慎な言い方かもしれないけど、テロや災害が人を繋げてくれる部分があると思ってて。だから一概に、それらを悪いって言えなかったりする。
なる
それは、おれもおんなじやな。
おれがここに住んでるのも、南富良野の水害でボランティアに来たのがきっかけだし。
そのおかげで、この落合地区のローカルな魅力に気づけたんだよなあ。
なるくんはSHUの同級生で、SHUの今回の北海道ツアーを取り仕切った共通の友人。
この日は自宅の鍋パーティに呼んでくれて、自分とSHUを会わせてくれた。
なるくんもかなり面白いので、いつか取り上げたいと密かに思ってます。
せいしゅう
そういう大きな出来事が、良くも悪くも繋がるきっかけにもなり得るってことだね。
それで、そういった経緯で会社に入ってからは、本来の会社の業務自体もやってる?
SHU
うん、製品に関する記事とか書いたり、いろいろしてる。

せいしゅう
そうなんだ。北海道に来るようになったのはいつから?
SHU
あれ、いつだっけ。3年前やったかな?
2015年の12月だった気が…。
なる
いや、2年前じゃない? この前は2017年の2月に来て、同じシーズン中に来てたから。 初めてきたのは、2016年の12月だったはず。
SHU
そうやったっけ。じゃあ、2年前やな(笑)
とりあえずなるが富良野におったから、なるに会いたいのと、大阪にないようなめっちゃ寒いのを経験してみたいと思って(笑)
なる
ちょうどおれが旅立つ前に、SHUと会って飲んでて。 ちょっと北海道行ってくるわって言って、それこそ災害のときにこっちにきて、 お金がなくなったら帰ろうと思ってたんやけど、結局帰らなかったから(笑)
SHU
それで「元気?」みたいなやりとりして、なるのとこに遊びに行った。
なる
SHUが初めてきたときは、単純に2泊3日でゴリョウゲストハウスに遊びにきてくれて。 それで”カフェてくり”でランチしたときに、店長と「じゃあ今度来たときライブしよう」ってなって。
SHU
初めて北海道にきたとき、ちょうど10年やってたバンドを辞めることになって、さらに元カノとも別れて、自分の中ではわりと一番エグい時期やってん。
せいしゅう
そこが、SHUにとってのターニングポイントだったんだ。それからハンドパン奏者として活動を続けてきたんだね。
SHU
そうやな。普段は大阪の梅田で路上ライブやってて。梅田って面白くて、観光地の心斎橋とかと違って、ビジネス街でありつつ観光地でもあって、すごいムズムズしてる場所やねん。
なる
あ、それ面白い表現やな。ムズムズ。
SHU
全員が全員、そこを自分の拠点だと思ってなくて、通過点やと捉えてる気がしてて。
仕事しに来る場所、観光しに来る場所でしかないのに、いろんな文化が混ざってる。
せいしゅう
じゃあ、聞きにくる人もムズムズしてる色んな人が来るんだ?
SHU
そう、訪日外国人とかビシっとスーツ着てる人とかも来てくれる。
梅田のスカイビルも世界の有名建築に選ばれる観光地やしな。
だから梅田ってすごいウネってて、面白い場所やと思うねん。
せいしゅう
そうなんだ。実際のところ、仕事とハンドパン演奏はどれくらいの割合? 
SHU
演奏だけじゃなくハンドパン事業部でいえば、7割くらいかな。会社の業務は3割くらい。気持ち的にはハンドパン9割やけどな(笑)
せいしゅう
サラリーマンにしてフリーランス的な働き方が、斬新だよなあ。
SHU
それはいまの会社のおかげでもあるかな。
逆にいえば、会社が大きくなる過程では邪魔になるから、いずれかのタイミングで独立したいとは思ってるけどな。 
せいしゅう
独立は、ハンドパン奏者として?それともハンドパン業者として?
SHU
んーどっちもかな。ハンドパンを広める人として独立したい。
そのために、おれの演奏でハンドパンいいなって思ってもらえることが必要やし。そんときに、その人がハンドパンを手に入れられる状況を作ってたい。

せいしゅう
なるほど。いま日本でハンドパンを取り扱ってるところはある?
SHU
まだちゃんとしたとこはないかな。
おれは5つのメーカーから取り扱ってて、ネットショップを展開しつつ、東京・愛知・大阪・福岡の楽器店に卸販売してるところ。
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せいしゅう
へええ。ハンドパンって量産が難しいって聞いたけど、仕入れは難しくないの?
SHU
そう、全て職人の手作りだから量産は難しいけど、メーカーって世界中に100くらいあるし、5つくらいメーカー抱えておけば、安定した供給はできるかなと思ってる。
せいしゅう
ハンドパンが生まれたのが2000年だったよね。
話にもあったけど、打楽器ってはるか昔からあるのに、いまの時代にまだ新しく発明されるってのが面白いなあ。
SHU
それこそ、ほんとにコラボでの発明が多いけどな。
ハンドパンって、中南米のトリニダード・トバゴで1960年代に発明された、スティールパンっていう楽器がもとになってんねんけど。そのスティールパンは、20世紀の最大にして最高の発明楽器って言われてて。
もともと植民地やってんけど、そこで原住民のひとたちが娯楽を禁止されてて、楽器も取り上げられてた。だけど、なんとか楽器を作ろうとしてドラム缶を凹ませて楽器を作ったのが始まりで。
そのスティールパンと、インドの伝統楽器でガタムっていう壺型の打楽器を合体させたのが、いまのハンドパンになった。 
せいしゅう
ある意味、グローバル化がもたらした新しい発明でもあるんだ。
権力に対するカウンターカルチャー的な側面もあるのかな。
SHU
発明したスイスのメーカーのドキュメンタリーとか見てても、世界中を旅して音楽してるバックパッカーが、スティールパンをもっとコンパクトにできないかっていうのがもとにあって。
持ち運べながらも、リズムもメロディもひとりで完結できるっていうのが最大のコンセプトやな。
せいしゅう
まさに国境を超えることで生まれた、21世紀的な楽器ということだね。
21世紀のテーマは個人的に「モバイル」だと思ってるから、すごいしっくり来るなあ。ハンドパンの成り立ちやコンセプト、めちゃくちゃ面白い。これはぜひとも、SHUにがんばって広めてもらいたいな。
 

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カテゴリ: インストゥルメンタル

 

せいしゅう
ハンドパンに情熱を傾けるSHUのレポートでした。
UFOの正体は、持ち運び可能(Mobile)でひとりでもライブが可能(Personal)という21世紀らしい次世代の楽器
宇宙の音を奏でるようなこの楽器は、すでに世界的に大人気らしいですが、これから日本でも普及していくのが楽しみです。
そんな予算なんてないですが、Seisyu Laboでもいつか欲しいなあ…(笑)